移動運用のための電源について
JQ1QNV
移動運用でIC-7400(50W改造)を投入することにしたのですが、そこで考えなくてはならないのが電源問題。今までは専らFT-817でしたの
で、電源は小さなシールドバッテリーでしたが、50W出そうとするとそういうわけにもいきません。過去にも記念局で、50W車中運用したことがありました
が、その時は、レンタルやローカルOMの発発をお借りして使用しました。でも、手間や費用を考えるとバッテリーでの運用もありです。
車用のバッテリーは深放電させると痛みやすいということから、無線の運用などではディープサイクルのバッテリーを薦めている方が多いですね。私も本当は
そうしたかったのですが、バッテリーの価格が高いこと、充電器を準備しなくてはならないこと等、今ひとつ踏み切ることができませんでした。
一方、車用のバッテリーの場合、値段がやすいこと、車用の充電器なら安価で入手可能なことから、車用のバッテリーも魅力的です。実際、ネットの情報でも車用のバッテリーでやっている人も結構いらっしゃるようです。
バッテリーを直接リグにつないで運用することも可能ですが、容量が減ってくると、チャープを起こしたり、リグの保護回路が働いて思うように出力が出なく
なったりします。それを防止するための方法として、ネットでは12Vバッテリー2個直列+DC-DCコンバータの例がいくつかヒットしましたが、DC-
DCコンバータは高価ですし、これ以外に使い道も無いしで、あまり気乗りしません。結局、現有装置の有効利用も考えて、DC-ACインバータ
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13.8V安定化電源の構成にしました。(図1) DC-ACインバータはホームセンターや車用品扱い店で容易に入手ができますし、安定化電源は
ALINCO
の30Aを持っているので、投資も少なくて済みます。この構成は JJ3GRX
亀田OMがチャープ対策で採用されている方式で、亀田さんの場合はディープサイクルバッテリーなのに対し、私の場合は自動車用バッテリーということです。
バッテリー
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車用の一般的なもの。40B19R
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DC-ACインバータ
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大橋産業(株) BAL No.1757(200W)、バッテリー電源の低下、変動をある程度吸収して 100VAC(実際は矩形波)を出力。
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安定化電源
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ALINCO DM-330MV、インバータで高圧化した交流電圧を安定化して直流へ変換。DM-330MV はインバータ式なので、上流のインバータノイズも消してくれるんじゃないかと期待。でもインバータの周波数が違えば無理かも。
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図1 移動用電源の構成
ネットの情報から、ごく一般的なバッテリー(40B19R等)2個で50W、数時間の運用が可能とのことでしたので、安価なものを2つ用意しました。2
個でも他の高容量バッテリーより安価です。 前述で不採用の12Vバッテリ2個直列方式で使用するDC-DCコンバータですが、これは容量が小さい上に値段が高
いですね。そもそも大きな電流が流せるものがそこら辺に売っていない。DC-ACインバータは200Wのもので4000円弱でした。回路構成を考えたら
DC-DCコンバータがインバータ+コンバータなのに対してDC-ACインバータはインバータだけで、コンバータの部分が無いと思えば値段が違うのは仕方
ないですね。
当初、インバータの出力波形(矩形波)に起因するノイズを心配したのですが、インバータの出力波形に多少の問題があっても安定化電源を通すので影響は小
さいだろうと判断しました。実際屋外運用してみても、あまり気にはなりませんでした。もっとも、DXの珍局を追っかけるシビアな運用ではないですし、周り
の雑音の方が大きいのでよくわからなかったと言うことかもしれませんが、車中での運用と言うのはこんなもんでしょう。過度にノイズを気にする意味はないと
割り切っています。そういえば、DC-ACインバータのファンがキーを打つたびに、まるでブレークインのように回るのでこっちの方がうるさかったです。
(ブレークインと言ってもセミですが。)
この方法は、バッテリーの電圧が下がっても、DC-ACインバータで容量をしぼり出すような使い方なので、もしかしたら、バッテリーにとっては過酷で寿
命を縮めるかもしれません。でも、まぁ、アマチュアのやることですし、発発をレンタルすることを思えば、数回の使用で元が取れるので、「これでいいかぁ」
と多分妥協することになると思います。ここで紹介した方法は「個人でのんびりだらだら」、あるいは「ゲリラ的に2,3時間」の運用する場合、コストの点で
良い方法だと思います。ハムなら安定化電源は持っているでしょうし、バッテリーの充電器も車用なら安価なものが選べます。DC-ACインバータも安価で入
手容易ですし、なにしろバッテリーそのものが安い。移動運用でまず問題になる電源ですが、私はしばらくこの方法で運用することになると思います。
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2010.7
Kadowaki Isamu